季刊水墨画 89号 特集 新・龍の描法
 
馬驍・他編 A4変型・104頁 本体1,500円 ISBN4-8170-0989-6
 
 いよいよ西暦2000年も間近か、来るべき年のエトはおめでたい龍である。恐ろしげな姿ながら天地を統べる力を持つとされ、天空に昇り、海深く潜るという、そのスケールは真に大きい。混沌としたこの世界の曇りを振り払い、新世紀への明るみへと導く大いなる希望を表象する雄姿としたい。
 馬驍は、伝統画法による作品でその全体像の概略と構図、幾種類かの描法を試み、勇躍する姿態を彫像などから写した。更に、岡山の倉敷張り子、滋賀県の小幡土人形・玉もち龍、栃木県の鹿沼きび殻細工などの郷土玩具5種類と、略画15種類をカラーを交えて描いた。
 大月紅石もハガキ大の郷土玩具によるカラー作例を、「昇龍」「昇龍昇運」「瑞雲」などの筆文字を入れて28例描いた。2作例の分解図も併載している。
 藤原六間堂は一筆描きの8画例を交えて表情の凄みを表出する画法解説をした。芝立波などによる図案化作品16例も賀状などのよき参考例になる。龍画一筋に研鑽を積んだ女流北畠聖龍の12点は金泥による作品をも含んだ重厚な作品群で見る者を異界に連れ去る。古典作品紹介「龍画点描」や、他に龍字と龍印作例をも収めて幅の広い描法と鑑賞の特集とした。合わせて64頁分。
 他にも描法関連記事など9本を収載。久山一枝と打矢悳の鳥海山スケッチ紀行は空間を生かした広大な風景を紹介し、林芳辰の連載・水墨画指南Aでは画面をいきいきと作り上げる要点を考えていく。