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●的確なデッサンと端正な筆あと。用具や歴史も。
墨絵入門 伝統の技とこころ
浦上義昭著 A4変・103頁 定価2,625円 ISBN4-8170-3414-9
墨絵の基本である用具や技法、歴史について触れながら、富士
山、越後の山岳、法隆寺などの風景、平等院の菩薩、雷鳥、蓮華、
牡丹、南天などの13例の描法を見てゆく。3例については各4頁
で、他は各2頁で簡略にまとめた。さらに描法例に関連する参考
作品も26点を収めた。いずれも、的確なデッサンに基づく端正な
筆跡が窺える。
用具では、墨と和紙の種類や原料、扱い方のほか、その製造法
については、両者とも写真を用いてその工程が詳しく述べられて
いる。和紙と色紙についても、その種類の資料が詳しい。硯、筆
と用筆法の概説もある。
山水画、風景画、花鳥画については、東洋での発展の過程をた
どりながら、その要諦をあらためて確認し、本質を失ってはなら
ないと述べている。さらに浦上春琴の画論を引き、絵画において
必要なことは、巧でもなく、拙とかということではない、などと
紹介している。
初心者も、そのこころ、精神性を失ってはならないことをあら
ためて強調した。
●主な目次 1墨絵の基本を学ぶ 写生/お手本/技法/陰影
法・彩色/描法プロセス 2用具と技法 墨/和紙/硯/筆/描
法プロセス3墨絵のこころ 山水画と風景画/花鳥画/中国山水
画/三遠法
●うらかみ・よしあき 日本美術院院友、上野の森美術館専任講
師。昭和25年生まれ。武蔵野美術大学卒業。聖徳太子誕生1400年
記念橘寺天井画制作、東大寺お水取り紙手(こうで)揮毫。作品、
外務省買上。
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