●清々しい香りや、色合いをどう表出できるか。

水墨画・プロの技に学ぶ
菊の描き方

藤原六間堂著 B5変・70頁 定価1,365円
ISBN4-8170-3527-7

 日本人にとって身近な花といえば菊。大菊、中菊、小菊、そして春菊、夏菊、秋菊、寒菊と種類も多い。
 花弁の伝統的な描き方の一つに右図の米字法がある。始めに十字型に四弁を外側から描き、次にその間を埋めるように米字型に四弁を描き加えるが、この花弁は逆に内側から描く。さらにこの8弁の間を埋めるように花弁を加えて完成させる。この描き方では、動きが出る。

 他に、巻いた花弁、花の向きに応じた描き方、小菊・大輪の描き方を、良・悪の描例で示した。
 菊の葉は、柔らかで厚みがあるので、潤いある濃い墨で描く。新しい葉、古い葉、表と裏葉をどう描くか。葉脈の入れ方で表情も変わる。
 描法過程は墨菊など4例。2例の彩色画も含む。カラーは参考5作例も合わせて14頁。
 墨の筆への含ませ方、墨色、運筆、濃淡の階調。これらを踏まえて立体感、遠近感を描出しながら、気高い菊の香や色合いをどう表現できるかを追った。古人の7作品にもそれぞれ新しさや、個性が窺え、学べる。
●主な内容 ◆花の描法 基本 1基本形/2中心を決めて円形から描く/3横向きの花、不規則な花 ◆テクニック 1筆書きを扁平にして小菊を/2筆先を丸くして大輪の花を/3筆先を捻って生き生きとした花弁を ◆葉の描法 基本1垂れ下がった葉、角度のついた葉を/2小さい葉や艶やかな新芽を ◆テクニック 4横長・縦長、丸く厚みのある葉/5シャープな花/6葉脈の入れ方で葉の表情が変わる ◆プロセス 1墨菊/2香り菊/3彩色の菊/4小菊 ◆名画鑑賞

●ふじわら・ろっけんどう 水墨画指導27年。水墨画虎杖会・金石六友会主宰。中国画壇の諸家と交流を続け、蘇州呉昌碩研究会名誉顧問など。師は父の藤原楞山。斉白石の高弟だった。1957年岡山県生まれ。




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