●現代人の目指すべき、納得の、調和的な生き方。

新装改訂版 冥想ヨガ入門
沖ヨガ・悟りへの道

沖 正弘著 A5・383頁 定価1,575円 ISBN4-8170-7009-9

 ヨガをする人が増えてきた。呼吸法を含め体の矯正や、自然治癒力の維持回復などに効果があるからだ。だが、それらは一部であり、本来のヨガのすべてではない。
 冥想行法を中心とするヨガは、言葉足らずを承知で単純化すれば、次のようになる。
 @モラルを保ち、A心を清らかに調え、足るを知り、真実と命を尊び、B姿勢を正し、C自然に則った食事と呼吸法を行い、D自己をコントロールし、E心身を統一して、F無心の境地に入り、和らげ、くつろぐ。Gそして最終的に無我の、三昧の境地に至る。

 六千年前に起こり、不立文字としてではあるが、人々に伝えられて実行され、この修行法はシャカやインドのガンジーも行った。そしてキリスト教やイスラム教、道教、日本の仏教でも取り入れられた修養でもあり、修業、修行である。歴史と共に生き、歴史をも超えようとする。
 現代人が失った人間性回復、自己開発のための現実的な実践的修養法であり、理性と合理性に基づいて、医学、心理学、哲学、科学、生活学、宗教など、人間に必要なすべての学びを一つにした訓練法である。ヨガは段階的な実践法を持っており日常的に生活日課に入りやすい。
 このヨガに、禅、道教、陰陽哲学などを総合し、さらに近代的哲学と科学の立場に立って、著者は、求道ヨガである沖ヨガを創始した。
 豊富な実体験や修行を通じて極めて具体的に、そして確信をもって展開する、人類共通の生き方である。説得力がある。
 巻末に全国153ヶ所の関連道場リストを付す。旧版は、1975年初版、92年17刷。
●主な目次 Tヨガとは何か 1ヨガの冥想/2ヨガは修養と修行を一つにしたもの/3ヨガの発生/4哲学としてのヨガ/5ヨガの神 U基礎修行 1ヨガの八段階/2第一段階 禁戒(ヤマ)正しい心構えをつくる道/3第二段階 勧戒(ニヤマ)/4第三段階 体位法(アーサナ)と動禅行法 正しい身構えをつくる道/5第四段階 調気法(プラーナーヤーマ)正食法について―生理的コントロール法/6第五段階 自己コントロール行法 V冥想行法 1ヨガの冥想行法の広さと深さ/2統一と無心の真意/3第六段階 統一行法(ダーラナー)/4第七段階 禅定行法(ディヤーナ)/5第八段階 三昧と最高境地の法悦 W実践のすすめ 1道場での冥想行法/2牢獄の聖者―ホセイニー師の教え/3神秘教団の恐怖の修行



●著者紹介 おき・まさひろ 1921年生まれ。大阪外語大学卒。参謀本部の特別諜報員として蒙古、中国、インド、アラビア各地に赴く。生涯を修行に費やし、ラマ教、道教、イスラム教、ユダヤ教寺院での修行を体験し、現代医学、漢方、インド、アラビアの古代医療法を総合し、自由な立場に立って合理的な独自のヨガを創始し、求道ヨガ(別名、沖ヨガ)と命名した。
 終戦後、平和活動家を志して禅門に入り、51年ユネスコの平和建設国際奉仕団日本代表としてインドに派遣され、医療・福祉活動と、大学で講義も行う。在印中、シャカ、ガンジーを悟りに導いた教えがヨガであると知ってから、まずその哲学の探究に心を向け、ついで、腸癌の診断を受けるに及んで、心身改造の目的でその行法にも専心するに及んだ。
 日本人による平和活動団体の組織化を決意し、奉仕団を組織して独力で数多くの青年を世界各地に送り出した。58年、日本ヨガ協会と、ヨガ行法哲学研修会を設立。さらに60年以降、十数回にわたり招かれて西欧各地で東洋哲学と医学の講習。
 誤解を生み出していた他のヨガと区別するために、あえて上記の別名とし、67年、修道場を三島市に設置。普及と、世界各国からの入門者を含め研修に努めた。85年7月、イタリアで客死。著書は『ヨガ呼吸修正法(上下巻)』『Practical Yoga』『MeditationYoga』(英文書2点は品切、いずれも小社刊)など多数。